「毎月赤字ばかりで借金が増える家計をなんとかしたい」と思っても、どうやって抜け出したらいいかわからない人も多いです。
毎月の返済を延滞していなくても、借金がほとんど減らないのであれば利息の返済ばかりで、すでに自力での完済がむずかしくなっています。毎月赤字で借金が増えて、返済が進まない状態を続けて借金問題の解決を先のばしにしていると、貸金業者に給料や財産を差し押さえられるリスクがあります。
自力で返済できるかどうかは借金の状況によるので、まずは自分の家計の状況を把握する必要があります。
もし、自力では返済できない、あるいはすでに借金の返済を延滞している場合には、弁護士・司法書士に相談をして、国が認める借金救済措置の手続きをすべきです。
毎月赤字で借金が増える家計のやばいリスク
毎月赤字で借金が増えると返済が追いつかずに延滞してしまいます。
借金の返済を延滞すると、最悪の場合、貸金業者に給料や財産を差し押さえられるリスクがあります。
遅延損害金を請求される
毎月赤字で借金が増えると、貸金業者への返済が遅れることがあります。
貸金業者から借金をするときは、借りた金額(元金)にくわえて利息を返済する必要がありますが、返済が遅れるとさらに遅延損害金を請求されます。遅延損害金は1日遅れるごとに増えていきますが、上限金利が20%とされているので通常の金利よりも高いです。
毎月1日、2日遅れてなんとか返済できていたとしても、利息と遅延損害金の返済でほとんど元金が減っていない状況です。毎月赤字で借金が増えて、返済が遅延している、あるいは最低限支払う必要がある「最低約定金額」しか返済できていない人は、いずれ滞納することになります。
いまはまだ少しの借金だからなんとかなると甘く考えていると、取り返しのつかないことになるので、1日でも早く借金問題を解決するために弁護士・司法書士に相談すべきです。
貸金業者から督促を受ける
毎月の決まった期日を過ぎても返済できずに滞納すると、貸金業者から返済の督促が送られていきます。
貸金業者からの督促状に法的な拘束力はありませんが、無視しているのはかなり危険です。
返済を61日以上または3か月以上滞納すると、信用情報機関に事故情報が記録されてブラックリストに載ります。ブラックリストに載ると借金を完済してから5年経つまで解除されません。
ブラックリストに載っている期間は、クレジットカードが使えない、新たにカードを作れない、住宅ローン・自動車ローン・ショッピングローンといったローンを組むことができない、といった状態にます。
貸金業者の督促状がきても、早く返済すればブラックリストに載ることはありませんが、督促状がくるほど滞納している時点でこれから先も完済できる見込みがあるとはいえません。いますぐ司法書士・弁護士に相談すべきです。
借金の一括返済を請求される
数か月以上も貸金業者からの督促を無視していると、「期限の利益喪失」として借金の一括返済を要求されることになります。
「期限の利益喪失」では、これまで発生していた遅延損害金も元金に上乗せして請求されるので、想像を超える高額請求になる可能性が高いです。返済できなければ自己破産することになりますが、保証人がついている借金がある場合は、自己破産すると保証人が一括請求されます。
保証人も借金を返済できなければ、一緒に自己破産をするリスクがあります。借金救済制度である債務整理のうち、利息をカットして借金を減らす任意整理であれば、保証人がついている借金を対象から外して手続きをすることができます。
差し押さえ督促が送られてくる
貸金業者から借金を一括請求されても返済できずにいると、財産の差し押さえ督促が送られてきます。
差し押さえ督促は、強制執行して財産を差し押さえることを知らせる通知なので、督促を無視していると貸金業者が法的な手続きを取ります。この時点であれば、貸金業者と交渉をする任意整理の手続きができますが、法的な手続きが進んでしまうと交渉ができないので個人再生や自己破産といった手続きになります。
個人再生は住宅以外の財産を、自己破産は生活に必要な最低限の財産を除いて、住宅も含んだすべての財産を差し押さえられることになります。もっともリスクやデメリットが少ない、任意整理の手続きを選択肢として選べるうちに、1日でも早く借金問題の解決をすべきです。
裁判所から支払督促が送られてくる
貸金業者から送られてきた差し押さえ督促を無視してから2週間~1か月ほど経つと、裁判所から「支払督促」が送られてきます。裁判所から送られてくる支払督促は、強い法的な効力がある書面なので、受け取りには署名と捺印が必要です。
支払督促に対して異議申し立てを裁判所に提出し、意義が認められれば支払督促を無効することができますが、通常訴訟へ移行することになります。
貸金業者が強制執行の手続きを進めているので、この段階では貸金業者と交渉をして借金を減額する任意整理はできず、個人再生や自己破産をして差し押さえの手続きをストップする必要があります。
自力では解決できない状態なので、差し押さえが始まる前にいますぐ早く司法書士・弁護士に相談すべきです。
給料や財産を差し押さえられる
裁判所から支払督促が送られてきてから、2週間以内に異議申し立て書を提出しなければ、裁判所から「仮執行宣言付支払督促」が送られてきます。
仮執行宣言付支払督促を無視していると、給料や車、住宅といった財産が差し押さえられてしまいます。
仮執行宣言付支払督促が送られると、事実上、差し押さえの直前なので自力で解決することができません。また、利息をカットして借金を減額する任意整理はできないので、個人再生や自己破産といった別の債務整理の手続きをして、差し押さえをストップする必要があります。
毎月赤字で借金が増える家計を1日でも早く脱する方法
毎月赤字で借金が増える家計を脱するには、以下の6つの方法があります。
借金の状況を把握する
毎月赤字で借金を繰り返している人は、まず借金状況をしっかりと把握することが大切です。
- どの貸金業者から借りているのか
- それぞれの貸金業者からの借金額はいくらか
- それぞれの借金の金利は何%で利息がいくらか
- 毎月の返済額はいくらか
- 完済までの期間はどのくらいか
複数の貸金業者から借入をしている「多重債務」の状況だと、ほとんどの人がそれぞれの貸金業者ごとの借入状況を把握できていません。
各貸金業者からの借金の状況をしっかりと把握しておくことで、今後の返済計画を立てることができます。
家計を見直して節約する
まの借金の状況を把握したら、次に家計を見直して、借金お返済にあてられるお金がいくらあるのかを計算します。
- 固定費
- 住居費(家賃)
- 保険料
- サブスク
- 車のローン
- 通信費
- 流動費
- 電気・ガス・水道
- 携帯・スマホ料金
- 食費
- 日用品費
家賃が安い家に引越す、不要な保険やサブスクを解約する、基本料の安いネット回線に変更する、格安スマホや安い公共料金プランに変更するなどして、毎月の支出を抑えます。
毎月の支出が減れば返済あてる額を増やすことができるので、早く借金を返済できます。
繰り上げ返済をする
借金の返済は、毎月返済しなければならない最低額(約定返済額)が決まっています。
約定返済額の支払いは利息を含んでいますが、約定返済額よりも多い返済分は元金の支払いにあてることができます。
そのため、今月は生活にゆとりがあってお金が多くあまった、仕事のボーナスが支給されたなど、お金に余裕があるときは繰上げ返済をすることで、借金を早く返済することができます。
副業をして収入を上げる
現在の収入で生活が苦しくてなかなか借金を返済できないのであれば、副業をして毎月の収入を上げることも検討しましょう。
本業の収入を急に上げることは難しいですが、スキマ時間に副業をすることで、副業の収入分を借金の返済にあてることができるので、借金を早く返済できるようになります。
また、借金を完済すれば本業以外の収入を貯金に回すことができるので、借金を完済した後の生活がラクになります。
おまとめローンを利用する
複数の貸金業者から借り入れをしてる場合、貸金業者によって金利が違います。また、1社ごとの借入額が少ないと、各業者の金利が高くなっている可能性があります。
おまとめローンを利用すれば、複数業者の借り入れを一本化できるので、借金の管理がラクになる上に、金利を下げることができる可能性があります。
ただし、毎月の返済額が少なくなる代わりに、返済期間が延びるので返済の総額が多くなる可能性があることには注意が必要です。
「おまとめローンでまとめれば大丈夫」と軽い気持ちでおまとめローンを利用すると、かえって借金の返済が苦しくなる可能性もあるので、あくまでも借金の状況を把握した上で検討するようにしてください。
借金減額の救済制度である債務整理をする
債務整理は、将来の利息をカットして毎月の支払額を減額する任意整理、借金を最大90%減額する個人再生、借金をゼロにする自己破産といった、借金の救済手続きのことです。
債務整理には、利息をカットして借金を減額する任意整理、借金を最大90%カットする個人再生、借金をゼロにする自己破産があります。どの債務整理の方法があっているかは借金や生活の状況によるので、司法書士・弁護士に相談して判断すべきです。
※厳密には特定調停もありますが、任意整理と同じような効果で裁判所を通す手続きなので、現在はほとんど選択されません。
利息をカットして借金を減額する任意整理
メリット | デメリット |
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将来発生する利息をカットできる 返済期間を見直して毎月の返済額を減らせる | ブラックリストに載る |
任意整理は、弁護士が消費者金融やローン会社といった貸金業者と話し合いで交渉をして、将来発生する利息のカットや返済期間の見直しをする手続きです。
任意整理は、債務整理のなかでも唯一裁判所を通さないでできる手続きで、債権者(貸金業者)との直接交渉で完了するので、任意整理したことを家族や勤務先に知られる心配がありません。
ただし、任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリストに載る)ので、およそ5年はあらたな借り入れやクレジットカード、住宅ローン・自動車ローンといった審査に通りにくくなります。とはいえ、事故情報が消えれば、借り入れやクレジットカードの作成もできます。
任意整理をすれば、今後の利息がゼロになるので借金の総額が大きく減って、返済期間も見直すことで毎月の返済もしやすくなります。
借金を最大90%カットできる個人再生
メリット | デメリット |
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借金を最大90%減額 住宅は残すことができる(住宅ローン特則) | ブラックリストに載る 官報に載る ローン返済中の自動車は取り上げられる |
個人再生は、返済中の借金を最大90%減額して、残った借金を3年〜5年で返済する手続きです。
残った借金を3年〜5年間で返済できれば、減額してもらった金額は返済する必要がありません。ただし、個人再生にはデメリットもあります。
信用情報機関に事故情報が登録(ブラックリスト)されます。ブラックリストに載ると、5年〜7年は新たな借り入れやクレジットカードの作成、ローンを組むことが難しくなります。また、住宅ローンを支払い中の自宅や、自動車を差し押さえられる可能性があります。
ただし、住宅を残す方法として「住宅ローン特則」があるので、住宅ローン特則を利用すれば、自宅を残したまま借金を減らすことができます。
個人再生をおこなった情報は国が発行する官報に掲載されますが、一般の人が目にする機会はほとんどないので、借金や債務整理のことが家族や勤務先にバレる心配はありません。
借金をゼロにする自己破産
メリット | デメリット |
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借金がゼロになる 99万円以下の現金と生活に必要な財産は残せる | ブラックリストに載る 財産を差し押さえられる 官報に載る 一部の職種の就業制限を受ける |
自己破産は、借金を返済できなくなった個人が、借金をゼロにすることができる手続きです。自己破産の申請をして免責を受けると、借金の返済をする義務がなくなります。
ただし、自己破産をすると借金をゼロにすることができる一方で、財産が差し押さえられる可能性があります。自動車は、条件によって手元に残しておける可能性がありますが、土地や住宅は、手元に残すことができません。
任意整理や個人再生と同じように、信用情報期間に事故情報が登録される(ブラックリスト)ので、免責後から5年〜7年はクレジットカードの新規作成やローンを組むこともできなくなります。
とはいえ、すでに借金の返済が遅れたり滞納しているのであれば、ブラックリストに載っています。このまま借金を滞納していると貸金業者に給料や財産を差し押さえられるので、債務整理をするよりも圧倒的にリスクが高いです。
債務整理をすることを悩んでいるあいだに、貸金業者が差し押さえの準備をしている可能性があるので、そうなる前に弁護士や司法書士といった専門家に相談をしてみると良いでしょう。
毎月赤字で借金が増える家計についてよくある質問
- 毎月赤字で借金が増えるとその後のリスクは?
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毎月赤字で借金が増えて返済を延滞するようになると、以下のようなリスクがあります。
- 遅延損害金を請求される
- 貸金業者から督促を受ける
- 借金の一括返済を請求される
- 差し押さえ督促が送られてくる
- 裁判所から支払督促が送られてくる
- 給料や財産を差し押さえられる
借金問題の解決を先のばしにするのは危険です。詳しくは「毎月赤字で借金が増える家計のやばいリスク」をご確認ください。
- 毎月赤字で借金が増える家計を止めるには?
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毎月赤字で借金が増えてしまう家計を脱する方法は、以下の6つがあります。
- 借金の状況を把握する
- 家計を見直して節約する
- 繰り上げ返済をする
- 副業をして収入を上げる
- おまとめローンを利用する
- 借金減額の救済制度である債務整理をする
すでに自力で返済できない借金の場合は、司法書士・弁護士に相談をして、借金減額の救済制度である債務整理をすべきです。借金家計から抜け出す方法について、詳しくは「毎月赤字で借金が増える家計を1日でも早く脱する方法」をご確認ください。